ページネーション ================ 一つのページに表示するにはデータの数が多すぎるという場合に、データを複数のページに分割して、それぞれのページでは一部分だけを表示する、という戦略がよく使われます。 この戦略が *ページネーション* として知られるものです。 Yii は [[yii\data\Pagination]] オブジェクトを使って、ページネーションのスキームに関する情報を表します。 具体的に言えば、 * [[yii\data\Pagination::$totalCount|totalCount]] データアイテムの総数を指定します。 通常、データアイテムの総数は、一つのページを表示するのに必要なデータアイテムの数より、ずっと大きなものになることに注意してください。 * [[yii\data\Pagination::$pageSize|pageSize]] 各ページが含むアイテムの数を指定します。 デフォルト値は 20 です。 * [[yii\data\Pagination::$page|page]] 現在のページ番号 (0 から始まる) を示します。 デフォルト値は 0 であり、最初のページを意味します。 これらの情報を全て定義した [[yii\data\Pagination]] オブジェクトを使って、データの一部分を取得して表示することが出来ます。 例えば、データプロバイダからデータを取得する場合であれば、ページネーションによって提供される値によって、それに対応する `OFFSET` と `LIMIT` の句を DB クエリに指定することが出来ます。 下記に例を挙げます。 ```php use yii\data\Pagination; // status = 1 である全ての記事を取得する DB クエリを構築する $query = Article::find()->where(['status' => 1]); // 記事の総数を取得する (ただし、記事のデータはまだ取得しない) $count = $query->count(); // 記事の総数を使ってページネーションオブジェクトを作成する $pagination = new Pagination(['totalCount' => $count]); // ページネーションを使ってクエリの OFFSET と LIMIT を修正して記事を取得する $articles = $query->offset($pagination->offset) ->limit($pagination->limit) ->all(); ``` 上記の例で返される記事のページ番号はどうなるでしょう? それは `page` という名前のクエリパラメータがリクエストに含まれるかどうかによって決ります。 デフォルトでは、ページネーションオブジェクトは [[yii\data\Pagination::$page|page]] に `page` パラメータの値をセットしようと試みます。 そして、このパラメータが提供されていない場合には、デフォルト値である 0 が使用されます。 ページネーションをサポートする UI 要素の構築を容易にするために、Yii はページボタンのリストを表示する [[yii\widgets\LinkPager]] ウィジェットを提供しています。 これは、ユーザがページボタンをクリックして、どのページを表示すべきかを指示することが出来るものです。 このウィジェットは、ページネーションオブジェクトを受け取って、現在のページ番号が何であるかを知り、何個のページボタンを表示すべきかを知ります。 例えば、 ```php use yii\widgets\LinkPager; echo LinkPager::widget([ 'pagination' => $pagination, ]); ``` UI 要素を手動で構築したい場合は、[[yii\data\Pagination::createUrl()]] を使って、いろんなページに跳ぶ URL を作成することが出来ます。 このメソッドは page パラメータを要求し、その page パラメータを含む正しくフォーマットされた URL を作成します。 例えば、 ```php // 作成される URL が使用すべきルートを指定する // 指定しない場合は、現在リクエストされているルートが使用される $pagination->route = 'article/index'; // /index.php?r=article/index&page=100 を表示 echo $pagination->createUrl(100); // /index.php?r=article/index&page=101 を表示 echo $pagination->createUrl(101); ``` > Tip|ヒント: `page` クエリパラメータの名前をカスタマイズするためには、ページネーションオブジェクトを作成する際に [[yii\data\Pagination::pageParam|pageParam]] プロパティを構成します。