サードパーティのコードを扱う ============================ 時々、Yii アプリケーションの中でサードパーティのコードを使用する必要があることがあります。 あるいは、サードパーティのシステムの中で Yii をライブラリとして使用したいこともあるでしょう。 この節では、こういう目的をどうやって達成するかを説明します。 Yii の中でサードパーティのライブラリを使う ------------------------------------------ Yii アプリケーションの中でサードパーティのライブラリを使うために主として必要なことは、そのライブラリのクラスが適切にインクルードされること、または、オートロード可能であることを保証することです。 ### Composer パッケージを使う 多くのサードパーティライブラリは [Composer](https://getcomposer.org/) パッケージの形式でリリースされています。 そのようなライブラリは、次の二つの簡単なステップを踏むことによって、インストールすることが出来ます。 1. アプリケーションの `composer.json` ファイルを修正して、どの Composer パッケージをインストールしたいかを指定する。 2. `composer install` を実行して、指定したパッケージをインストールする。 インストールされた Composer パッケージ内のクラスは、Composer のオートローダを使ってオートロードすることが出来ます。 アプリケーションの [エントリスクリプト](structure-entry-scripts.md) に、Composer のオートローダをインストールするための下記の行があることを確認してください。 ```php // Composer のオートローダをインストール require(__DIR__ . '/../vendor/autoload.php'); // Yii クラスファイルをインクルード require(__DIR__ . '/../vendor/yiisoft/yii2/Yii.php'); ``` ### ダウンロードしたライブラリを使う ライブラリが Composer パッケージとしてリリースされていない場合は、そのライブラリのインストールの指示に従ってインストールしなければなりません。 たいていの場合は、リリースファイルを手動でダウンロードし、`BasePath/vendor` ディレクトリの下に解凍する必要があります。 ここで `BasePath` は、アプリケーションの [base path](structure-applications.md#basePath) を表すものです。 ライブラリがそれ自身のオートローダを持っている場合は、それをアプリケーションの [エントリスクリプト](structure-entry-scripts.md) でインストールすることが出来ます。 複数のオートローダクラスの中で Yii のクラスオートローダが優先されるように、ライブラリのオートローダは `Yii.php` ファイルをインクルードする前にインストールすることを推奨します。 ライブラリがクラスオートローダを提供していない場合でも、クラスの命名規約が [PSR-4](http://www.php-fig.org/psr/psr-4/) に従っている場合は、ライブラリのクラスをオートロードするのに Yii のクラスオートローダを使うことが出来ます。 必要なことは、ライブラリのクラスによって使われている全てのルート名前空間に対して [ルートエイリアス](concept-aliases.md#defining-aliases) を宣言することだけです。 例えば、ライブラリを `vendor/foo/bar` ディレクトリの下にインストールしたとしましょう。 そしてライブラリのクラスは `xyz` ルート名前空間の下にあるとします。 この場合、アプリケーションの構成情報において、次のコードを含めれば良いのです。 ```php [ 'aliases' => [ '@xyz' => '@vendor/foo/bar', ], ] ``` 上記のどちらにも当てはまらない場合、おそらくそのライブラリは、クラスファイルを探して適切にインクルードするために、PHP の include path 設定に依存しているのでしょう。 この場合は、PHP include path の設定に関するライブラリの指示に従うしかありません。 最悪の場合として、ライブラリが全てのクラスファイルを明示的にインクルードすることを要求している場合は、次の方法を使ってクラスを必要に応じてインクルードすることが出来るようになります。 * ライブラリに含まれるクラスを特定する。 * アプリケーションの [エントリスクリプト](structure-entry-scripts.md) において、クラスと対応するファイルパスを `Yii::$classMap` としてリストアップする。 例えば、 ```php Yii::$classMap['Class1'] = 'path/to/Class1.php'; Yii::$classMap['Class2'] = 'path/to/Class2.php'; ``` サードパーティのシステムで Yii を使う ------------------------------------- Yii は数多くの優れた機能を提供していますので、サードパーティのシステム (例えば、WordPress、Joomla、または、他の PHP フレームワークを使って開発されるアプリケーション) を開発したり機能拡張したりするのをサポートするために Yii の機能のいくつかを使用したいことがあるでしょう。 例えば、[[yii\helpers\ArrayHelper]] クラスや [アクティブレコード](db-active-record.md) をサードパーティのシステムで使いたいことがあるでしょう。 この目的を達するためには、主として、二つのステップを踏む必要があります。 すなわち、Yii のインストールと、Yii のブートストラップです。 サードパーティのシステムが Composer を使って依存を管理している場合は、単に下記のコマンドを実行すれば Yii をインストールすることが出来ます。 composer global require "fxp/composer-asset-plugin:~1.2.0" composer require yiisoft/yii2 composer install 最初のコマンドは [composer アセットプラグイン](https://github.com/francoispluchino/composer-asset-plugin/) をインストールします。 これは、Composer によって bower と npm の依存パッケージを管理できるようにするものです。 このことは、データベースなど、アセットに関係しない Yii の機能を使いたいだけの場合でも、Yii の Composer パッケージをインストールするために必要とされます。 [Yii のアセット発行の機能](structure-assets.md) を使いたい場合は、あなたの `composer.json` の `extra` セクションに次の構成も追加しなければなりません。 ```json { ... "extra": { "asset-installer-paths": { "npm-asset-library": "vendor/npm", "bower-asset-library": "vendor/bower" } } } ``` Composer に関する更なる情報や、インストールの過程で出現しうる問題に対する解決方法については、一般的な [Composer によるインストール](start-installation.md#installing-via-composer) の節を参照してください。 そうでない場合は、Yii のリリースを [ダウンロード](http://www.yiiframework.com/download/) して、`BasePath/vendor` ディレクトリに解凍してください。 次に、サードパーティのシステムのエントリスクリプトを修正します。 次のコードをエントリスクリプトの先頭に追加してください。 ```php require(__DIR__ . '/../vendor/yiisoft/yii2/Yii.php'); $yiiConfig = require(__DIR__ . '/../config/yii/web.php'); new yii\web\Application($yiiConfig); // ここで run() を呼ばない ``` ごらんのように、上記のコードは典型的な Yii アプリケーションの [エントリスクリプト](structure-entry-scripts.md) と非常に良く似ています。 唯一の違いは、アプリケーションのインスタンスが作成された後に `run()` メソッドが呼ばれない、という点です。 `run()` を呼ぶと Yii がリクエスト処理のワークフローを制御するようになりますが、この場合はリクエストを処理する別のアプリケーションが既に存在していますので、これは必要ではないからです。 Yii アプリケーションでの場合と同じように、サードパーティシステムが走っている環境に基づいて Yii のアプリケーションインスタンスを構成する必要があります。 例えば、[アクティブレコード](db-active-record.md) の機能を使うためには、サードパーティシステムによって使用されている DB 接続の設定を使って `db` [アプリケーションコンポーネント](structure-application-components.md) を構成しなければなりません。 これで、Yii によって提供されているほとんどの機能を使うことが出来ます。 例えば、アクティブレコードクラスを作成して、それを使ってデータベースを扱うことが出来ます。 Yii 2 を Yii 1 とともに使う --------------------------- あなたが Yii 1 を前から使っている場合は、たぶん、稼働中の Yii 1 アプリケーションを持っているでしょう。 アプリケーション全体を Yii 2 で書き直す代りに、Yii 2 でのみ利用できる機能を使ってアプリケーションを機能拡張したいこともあるでしょう。 このことは、以下に述べるようにして、実現できます。 > Note: Yii 2 は PHP 5.4 以上を必要とします。 > あなたのサーバと既存のアプリケーションが PHP 5.4 以上をサポートしていることを確認しなければなりません。 最初に、[直前の項](#using-yii-in-others) で述べられている指示に従って、Yii 2 を既存のアプリケーションにインストールします。 次に、アプリケーションのエントリスクリプトを以下のように修正します。 ```php // カスタマイズされた Yii クラスをインクルード (下記で説明) require(__DIR__ . '/../components/Yii.php'); // Yii 2 アプリケーションの構成 $yii2Config = require(__DIR__ . '/../config/yii2/web.php'); new yii\web\Application($yii2Config); // ここで run() を呼ばない。yii2 app はサービスロケータとしてのみ使用される。 // Yii 1 アプリケーションの構成 $yii1Config = require(__DIR__ . '/../config/yii1/main.php'); Yii::createWebApplication($yii1Config)->run(); ``` Yii 1 と Yii 2 の両者が `Yii` クラスを持っているため、二つを結合するカスタムバージョンを作成する必要があります。 上記のコードでカスタマイズされた `Yii` クラスファイルをインクルードしていますが、これは下記のようにして作成することが出来ます。 ```php $yii2path = '/path/to/yii2'; require($yii2path . '/BaseYii.php'); // Yii 2.x $yii1path = '/path/to/yii1'; require($yii1path . '/YiiBase.php'); // Yii 1.x class Yii extends \yii\BaseYii { // YiiBase (1.x) のコードをここにコピー・ペースト } Yii::$classMap = include($yii2path . '/classes.php'); // Yii 2 オートローダを Yii 1 によって登録 Yii::registerAutoloader(['yii\BaseYii', 'autoload']); // 依存注入コンテナを作成 Yii::$container = new yii\di\Container; ``` 以上です。 これで、あなたのコードのどの部分においても、`Yii::$app` を使って Yii 2 アプリケーションインスタンスにアクセスすることが出来、`Yii::app()` によって Yii 1 アプリケーションインスタンスを取得することが出来ます。 ```php echo get_class(Yii::app()); // 'CWebApplication' を出力 echo get_class(Yii::$app); // 'yii\web\Application' を出力 ```